【メモ】Born Digital スカルプトセミナー【CG】


先日行ってまいりました。
ZBrushとMudboxの2大スカルプトツールの合同セミナーという、非常に珍しい組み合わせです。最近、仕事で使うためにZBrushを覚え始め、専門学校の授業でMudboxを教える必要もあり…ということで、まさに自分向きのセミナーでした。


会場は、お茶の水デジハリ本校1階講堂。昨年、ユークスのCGセミナーにてPS3をGETした思い出の地です。
会場到着するも、まだ開場前だったのでしばし待つ。開場後、一番前の席に陣取りました。最近は、セミナーではできるだけ前、可能であれば一番前の席に座るようにしています。他人の頭でスクリーンが見えないこと程イライラすることはないので…。逆に後ろの方にはウザイ思いをさせてたかもしれません。
(一番前でノートPCでカタカタメモとってたのが僕です。すみません)


本日のアジェンダは、以下。

  • ZBrush&Mudbox新機能デモ
  • ZBrushユーザプレゼンテーション(吉田雅則氏)
  • Mudboxユーザプレゼンテーショ(西田健一氏)

ほとんどメモの書き起こしのまま掲載しますので読み辛い部分はあると思いますが…雰囲気だけでも伝わればと思い記事にさせていただきます。
まずは主催のボーンデジタルさんから、ZBrushとMusboxの最新バージョンの機能紹介がありました。プレゼンテーションは、ボーンデジタルのY女史?(taiさん情報)以前参加したZBrushセミナーも女性がプレゼンされてましたが、同じ方かな?
(胸元が空いててちょいと目のやり場に困る感じではありましたが…そんなの気にしてたの僕だけ?)






■ZBrush3.5R3新機能デモ

ZSketch
  • 人体のツールを開き、サブツールとしてZsphereを作成。
  • ZSketch>Editsketchで、ZSphereからペイントするように追加のZsphereを引っ張り出せる。
  • Aキーでポリゴンモードと切り替えながらスムースかけたり、肉を盛ったり。
  • いろんなモードで描画可能(?これよくわかんなかったです)
  • Remeshすると、サブツールも含めた1つのツールに変換出来る。

(MAYAとの連携)MAYAのシミュレーションで作ったパーティクルをポリゴン化して、OBJでエクスポート。
ZBに持ってきてRemeshすると、綺麗なポリゴンの流れに変換出来る。
欠けたポリゴンや、三角ポリゴンももRemeshで綺麗に。

Surface>Noise
  • 全体的にフラクタルなディテールを与える。
  • マスク部分を除いて適用することも出来る>mask>blurMaskで境界を馴染ませるとよい。
  • AddtoMeshでノイズをモデルに焼き付けることが出来る。
  • レイヤーに対しての焼付も可能。>レイヤーのON/OFFで表示の切り替えが可能。
分割を上げたくない部分がある場合…
  • 細かい分割が必要な部分だけPolyGroupとして登録。
  • Div1以上のレベルを削除し、再度サブディビジョン。>詳細は失われる。
  • その後、Appendで、もとの詳細なスカルプト形状に合わせて復活出来る。

(?ここの手順、やり方よくわかんなかったです。)

新しいマスク手法の追加
  • MaskAmbientOcclusion>AO情報に基づいてマスクを作成
  • MaskbyCavity(これは説明なかった。僕自身、CavityMapというものが何かわかっていない)
UV
  • ZPLUGIN>UVMaster>UVunwrap
  • PolyGroupのスイッチをONにすると、PolyGroup単位で別々に展開してくれる。
GeometryHD
  • 高精度のディスプレイスを作成出来る。
  • 標準では、DisplacementMap>「Create and Export Map」で32bitのマップを保存可能。
  • GeomertyHD>Divideで、より細かいディテールのDisplacementMapを作成出来る。

(MAYAとの連携)MAYAにはモデル情報を.maファイルとしてそのまま持っていける。
mayaでDisplacementMap設定。mentalrayの近似ディスプレイスでレンダリング
GeometryHDだと、同じスカルプトモデルからでもマップの設定を変えるだけでより詳細が出せる。







■Mudbox2011新機能デモ

現在、SP1がダウンロード可能だそうです。
2011では、テクスチャ周りの進化が目玉だとのこと。

テクスチャ・ペイントの新機能

ペイントレイヤー>レイヤーモードの設定が可能。
  • これまでは透明度だけだったが、Photoshopのように乗算、スクリーン、オーバーレイでの重ね合わせも。
ペイントツール>プロジェクションで、モデルにテクスチャを投影可能。

(これは当たり前な気がするが…新機能ではない?)

Photoshopに、レイヤー構造保持したままエクスポートできる。
  • 逆に、Photoshopで編集したものを、MudBoxに戻すことも出来る。
Flatten UV Space
  • ワークビューの表示をUVスペースに変えて、UVを展開した状態でペイントも出来る
  • プレファランスで、UVからどの程度はみ出してペイントするか設定出来る。
その他
  • 自己発光(インタセンテンス?)マップもペイント可能
  • ノーマルマップとバンプマップを別に設定、ペイント出来る。
  • ブラー、焼き込みなどのブラシが増えた。

モデル・スカルプトの新機能

ベクターディスプレイスメントマップ
  • 深度と方向を持った虹色のマップ(=ベクターディスプレイスメントマップ)を用いて、複雑な形状のディスプレイスをブラシで行える。

作例では、顔のモデルにブラシで耳をスカルプトしていました。方向性を持ったマップなので、ビューとは真逆を向いた形状とかもスカルプト出来るのかな?オブジェクトをペイントする感覚です。

  • スカルプトした形状を、ベクターディスプレイスメントマップに変換出来る。
  • マップは32bitFloat.TIFFHDRなので、後で露出の設定が出来る。
  • モデル、ブラシの共有化が可能になる。

FBX

MAYAでジョイントを設定した人体を、FBXでMudboxに持っていける。
  • MB上でポーズ変更が可能。逆にMAYAに戻すことも出来る。
  • 他の3Dソフトでも同様のことが可能。
  • FBXのエクスポートで、Mudbox上でレイヤー情報が分かれてるペイント、スカルプトは、別のテクスチャ、ブレンドシェイプとしてMAYAに書き出せる。
  • 再度Mudboxに戻しても、ブレンドシェイプはスカルプトレイヤーとして保持されているので、各シェイプを再度スカルプトすることも出来る。






【メモ】Born Digital スカルプトセミナー その2【CG】

長かったので別記事に分けました。
後半は、ZBrush、Mudbox各ユーザーによるプレゼンテーション。


ZBrushユーザープレゼンテーション

登壇されたのは吉田雅則氏。スクウェアビジュアルワークスでご活躍後、DVD「パペットアニメーション囚人のジレンマ”」を発表されました。(Amazonで購入可能、とのお知らせもありました。)
現在、CGWORLDでZBrushの連載中。またデジタルスカルプトだけでなく、立体造形もやられてます。(こちらが本業ですかね?)
スライドで様々なお仕事画像をご紹介頂きましたが、後で登壇されるセガサミーVEの方からのご依頼で、ソニックの映像作品のキャラクター粘土造形もされていたり。

本日のセミナーはZBrushユーザーも結構参加していたということもあり、「スカルプトとは何ぞや?」という全体的な話ではなく、一部の機能に絞って、詳しく解説していただきました。主に吉田様が常日頃から使っておられる「ディテーリング」=詳細な形状をスカルプトするための方法論について、お話頂きました。
(サンプルデータとして、CGWORLDの連載でも使用された侍のモデルを使用されました)

ディテーリングの方法論

  • しわ、毛穴などの詳細をどうやって描いていったのか。
  • スカルプトではなく、テクスチャベースのディテーリング。

ブラシを早くストロークすると、ドットが出てしまう>解決法は?

1.レジーマウス
  • ジー=遅れるという意味。
  • メニュー>ストローク>レジーマウス>アクティブにするとドットを出さずに素早く描画出来る。
  • ジーステップ=ドットとドットの感覚を大きくすると、ドットが出る。
  • 少なくすると出なくなるが、0にするとまたドットが出る=パラメータ無効になってしまう。
  • ジーステップには、ごく小さい値を入れるといい。
2.プロジェクションマスター(PM)…プラグイン
  • コンセプトが、非常にZBrush的な機能。
  • 説明が難しいが、理解出来るとZBrush自体のコンセプトを理解出来る。


以下、使用方法を簡単に記載します。

  1. テクスチャを作っておく。(3.5からオブジェクトごとにテクスチャが持てるようになった。オブジェクトごとのテクスチャは、ツール>テクスチャからアクセス。)
  2. デフォメーションだけチェックして、PMモードに入る。(DropNow)
  3. コブラシにアルファをアサイン。ZAddで描画すると、シャープなスカルプトが出来る。
  4. PMモードを抜ける(PickUpNow)


…と、ここまで見ると普通のスカルプトとあまり変わらないのですが、実際はPMモードでのスカルプトは3Dオブジェクトに対してではなく、2Dに変換された画像に対して、奥行き情報を持った状態でスカルプトされるようなのです。(=これをZBrushでは「2.5D」と読んでいます)


もちろん、このPMはドットを消すためだけの機能ではなく、ディテーリングにおいて大きな役割を果すものです。
以降、PMを用いた手法も含め、様々なディテーリングの方法をご紹介頂きました。

ディテーリング

1.アルファを使って直接描く。
  • DRUGRECTブラシで描画>ドラッグで、回転、スケールを変えて置けるので便利。(このとき、吉田様はマテリアルにBASICMATERIALを使うそうです。見やすいので。)
2.ステンシル
  • アルファメニューから、MakeSTをONにして使用開始。
  • スペースバーを押して、位置、回転、スケールを変更することが出来る。
  • 場所を決めたら、上からブラシでなぞって描く
  • 良い点…ステンシルを移動しながら、欲しいところに欲しい強さで描ける。
3・ブラシメニュー>カーブエディタを調整>アキュレーシーをアクティブ
  • ブラシモディファイヤの数値を上げる。(30くらい?)
  • ジーマウスもONにすると、シャープなラインを得られる。

この後、上記3つの手法を用いた作例として、カエルのモデルをご紹介頂きました。カエルは2日半〜3日で作成されたそうです。この手法で良い点は直感的に作業出来ると言う事なのですが、悪い点としては、非常にデータが重くなってしまう、ということが上げられます(カエルの場合、200〜300万ポリ)そこで、吉田様がこの点をどう解決しているかというと、前述のPM(プロジェクションマスター)を用いてるとのこと。以下、その解説になります。

テクスチャ(PM)をつかったディテーリング

  1. バンプマップ用に、2048×2048、中間色グレーのテクスチャをNewTextureで作っておく。
  2. ProjectionMaster>Colorにチェックを入れて落とし込む
  3. ブラシのカラーを白にして、テクスチャをDrugrectで描画。Drugrectは移動、スケール、回転を後から調整できるのがいい。
  4. PMモードから抜けると、カラーテクスチャとしてアサインされている。
  5. マテリアルをバンプビューアマテリアルに変更すると、バンプの状態をリアルタイムで見れる。デフォルトだとアンチが効いてないのでONにする。


この手法の利点として…

  • ポリゴンの状態に左右されない=Divを上げてもディテールが消えない。
  • スムーズをかけても、ディテールが消えない。(Smoothは頂点間を平均化するブラシ=平らになる)
  • バンプテクスチャを見ながら、エッジをスカルプトで強調出来る。(バンプで凹凸が現れている部分を強調したほうが、現実感が出る。)


…というようなことを上げられていました。
続いて、CGWORLDの連載でも取り上げられた、侍のモデルを使用しての実践的な解説です。

侍のディテーリング

手の甲の描きこみ

GometryHDを使う方法もあるが、データがヘビーになるので、テクスチャでディテーリングする。

  1. 新しいテクスチャとして、カラー(128,128,128)の4kテクスチャを作成
  2. PMモードに入る>カラーONで落し込み
  3. 指の写真のテクスチャから、Photoshopでハイパス>レベル補正でアルファを作成。(ご自分の指を撮影されたそうです。形状変化があるところに明暗差を。かつ、中間の形状がなくならないように調整すると、使い易いアルファが出来るとも)
  4. アルファを回転、スケールしながら位置を決め、Apply。
  5. PMモードを抜ける。(ピックアップ)
  6. バンプビューアマテリアルをアサインする。

上記手順により、あまりDivを上げなくても、ディテールを作ることができます。また、最後の手順でバンプビューマテリアルに変更していますが、他のマテリアルでもカラーバンプのパラメータを上げることで確認できるとのこと。ZBrushでは仕様上、バンプのかかりかたが反対になっているとのことで、-の値を入れていました。

ディスプレイスメントでの適用方法
  1. 先程作成したのバンプのテクスチャをMakeAlphaでアルファに放り込む。(←ここの手順がよくわかんなかったです。)
  2. なんでもいいので、ダミーのテクスチャを作っておく。
  3. ディスプレイスメントはマテリアルに依存しないので、そのままビュー上で確認できる。


ProjectionMasterを使用する利点は、テクスチャ(2.5D)なので編集が簡単で、やり直しも簡単というところだそうです。
以降、PMについていくつか補足頂きました。

2.5Dブラシがいろいろある
  • クローンブラシ=Psのコピーと同じ。
  • スプレーで描画したり。
  • コブラシで超極細のアルファで描いていったり。
  • ブラーブラシでぼかしたり。


その後、PMを用いたディテーリングの手順を再度やっていただきました。なにぶんこのあたりの機能を知らずに書いてますので…後で自分で試して、間違っていたら修正します。

  1. グレーのコンスタントなマテリアルにして、カラーのみでPMに落し込む。
  2. PM上でテクスチャを描画。
  3. PMから戻ってピックアップ。バンプマップとして焼付。
  4. クローンして、ディスプレイスにも持ってこれる。
  5. メイクアルファ。
  6. ディスプレイスから、今のアルファを読み込む。(このときダミーテクスチャがいる)
  7. さらに、形状に焼き付けることも出来る。


上記のように、テクスチャで納得行くまで形状を詰めて、後でポリゴンにアプライする方法にも触れられていました。
最後に、もう1回くらいならDivideしてもいいとも。ちょっとだけ、形状が甘くなってしまうのが残念…とおっしゃってましたが。

(!バグ)PMモードから抜けたときにカラーが黒だと、マテリアルが標準のWAXに戻ってしまうそうです。何か別の色にしておけば大丈夫。

ZApplink

Photoshopなどのペイントソフトと連携する機能。テクスチャの相互やりとりが出来るそうです。あまり細かい説明はありませんでした。


…以上になります。文字にしただけでも、結構なボリュームのプレゼンだったことが分かりますね。吉田様に改めて感謝の拍手を送りたいと思います。ありがとうございました。


<補足>
プレゼン冒頭に、スカルプトツールの名前をいくつか上げられていました(3D-Coat、modoなど)が、ひとつだけよく聞き取れなかったものがありました。「サイロ」と仰ってたような気がするのですが…僕は初耳です。後で調べておこう。






【メモ】Born Digital スカルプトセミナー その3【CG】

これで最後の記事になります。Mudboxのユーザープレゼンテーションは、SSVE(セガサミービジュアルエンタテインメント)の西田健一様。


ZBrushユーザープレゼンテーション


西田様のプレゼンテーションは、直接その場でソフトを操作するのではなく、作業中のデスクトップを録画したムービー(もちろん早回しです)を再生しながら、補足を加える形で進められました。

使用したモデルは、Area(Autodeskのユーザー向けサイト)英語版に掲載するユーザー事例として作成したクリーチャー。(上記写真左。3週間くらいで作ったものだそうです。スゴイ!)Mudbox2011の海外向けアドバタイズにも使用されたそうです。

また、このプレゼンテーションのテーマは「コンセプトからフィニッシュまで」。Mudboxだけでなく、ZBrushなど他のソフトでも使えるワークフローとしてご説明頂きました。実際、ローポリの状態からレンダリング、コンポジットまで、全ての工程を1時間のプレゼンで御披露いただきまして、急ぎ足ではありましたが、こちらも有意義な時間でした。


以下、アジェンダになります。(実際は英語だったのですが、メモ取れなかったので口頭で行って頂いた日本語で記載します。)

  1. ベースメッシュ作成(MAYA)
  2. プライマリフォーム
  3. セカンダリフォーム
  4. ターシャリフォーム(3番目。ここまでの工程をコンセプトマケットと呼ばれていました)
  5. ドローイングワイヤーフレーム
  6. トポロジー(専用ソフトを使用)
  7. ディスプレイスメントのエクスポート
  8. ディスプレイスメントのアサイ
  9. ファイナルディテール
  10. バンプマップ
  11. カラーマップ
  12. レンダリング(MAYA:mentalray)
  13. コンポジット(Toxik)
  14. プレビュー


以上、14工程です。本当に1時間で終わるのか…一部を詳しく説明された吉田様のプレゼントは対照的ですね。では、各工程の詳細を記載していきます。

1.ベースメッシュ作成(MAYA)

MAYAでモデリング。Mudboxにエクスポートする際、スケールを10倍にするとちょうどいい。

2.プライマリフォーム(Mudbox)

このムービーが一番長く、15分くらいの長さでした。以下、ご本人の解説。

  • 細かいディテールは必要ない。大きいフォームを意識する。
  • エッジを立てた部分があるのは、顔の各部位のランドマークをしっかり作るため。
  • ぜひスペキュラONで作業して欲しい。
  • 骨格、筋肉、大きな皺、くぼみなどを作っていく。
  • ここでしっかり作っておくと、プライマリだけで結構なクオリティが出せる。
  • 色々な角度で見たり、ライトの向きを変えながら作業。
  • Ctrl+L、Shift+Lで、シルエットを確認できたりする。
  • 骨から作り始めて、肉を盛っていくような作り方をする人もいる。
  • フリーズブラシ(=マスク?)使いながら。
  • スカルプト、スムーズ、ワックス、バルジ、ピンチ、スクレイプなどよく使う。
  • これらのブラシはテンキーにホットキーとして登録している。
  • Mudboxには隠されてるホットキーが結構ある。
  • 解剖学書や、動物のリファレンスなどを見ながら作業する。(今回は牛、カバ、サイなど)
  • ムービーでは多少詳細も入れているが、形状が取れれば面のみの構成で十分。
  • プライマリは一番大事
  • シンメトリーは、セカンダリの途中くらいまで使う。
  • ちょっとだけポーズが違う場合(耳の角度が違うとか)も、タンジェントミラーという機能を使えばシンメトリと同じ感覚で作業できる。
  • ポーズツールで顔の角度を変えてみたり。


…ここまでがプライマリフォームの工程です。ご本人の弁通り、すでにかなりのクオリティまで出来上がっていました。ただご本人はこの段階での作業はあまり好きでないそうです。大事な工程であるために、緊張して楽しめないとか…。詳細を作っていくほうがお好きみたいです。

3.セカンダリフォーム(Mudbox)

プライマリに、細かいディテールを加えていく工程です。

  • 皮膚の質感や、毛穴の表現はまだ入れない。
  • プライマリに、さらに説得力を増すための肉付けを行う。
  • 肉のたるみなど、重力を意識したスカルプトを行う。グラブ、バルジなどのブラシを使う。
  • Lキーでライトの角度変えられるので、こまめに変えて確認。
  • 質感をしっかり計画する。骨と皮だけなのか?みずみずしいのか?岩みたいなのか?
  • セカンダリは400万ポリ位で作業している。マシンパワーが許せば、よりポリ数は上げ目で(最大1億ポリとかいったそうです…)
  • スカルプトだけで質感が出せるのが理想。
  • 後半はすでにアシンメトリーで作業。

4.ターシャリフォーム(Mudbox)

セカンダリよりもさらにDivを上げて作業します。400万ポリ以上。

  • 可能な限り、細かいディテールに集中して仕上げる。
  • 必要ならスタンプ、ステンシルなども使って作業するが、あまり多様はよくないかも。(西田様ご本人的には)
  • ディテールを、この時点で入れられる限界まで入れていく。
  • トポロジーの後に、さらに細かいディテールを入れる。
  • 環境ライトを入れると重くなる。(このときは、メイン1灯と環境ライトが入ってました)
  • スカルプトブラシのフォールオフを一番小さくして、細かいラインを引いていく。(ナイフでも代用可能)


ここまでの工程で、コンセプトマケットは完了となります。

5.ワイヤーフレームデザイン(Mudbox)

ペイントレイヤーに、ワイヤーフレームを描いていく工程です。

  • 詳細はいらないので、400万ポリより下のモデルで作業すれば良い。
  • アニメーションさせる場合などは、必要な部分を細く分割。
  • エッジループの流れを意識する。後のリトポロジー作業が楽になる。
  • 四角ポリゴンで構成されるように。
  • 青い矢印で、エッジループの流れを描く。しわの流れ、筋肉の向き、アニメーションなど問題ないかチェックしながら。
  • ポール(5つ以上のエッジが交わるポイント)の置き場所が大事。

6.リトポロジー(専用ソフト)

「Topogun」というリトポロジー専用ソフトを使う。1万円くらいなので安価。
前の工程で作成したワイヤーフレームデザインをガイドにして作業。
いろんな方法で面を張ることが出来る。
トポロジーが完成したら、これをレンダリング用のモデルとして使用する。

7.ディスプレイスメントのエクスポート(MAYA→Mudbox)

ターシャリフォームから、ディスプレイスメントマップを書きだします。

<MAYA>

  • MAYA上で、りトポロジーしたモデルのUVを開いておく。
  • 十分な解像度を得るため、顔と体の2パッチで書き出す。(ともに4096×4096?)
  • ムービーでは都合上目と口に穴をあけておいたが、閉じておいた方がよい。


<Mudbox>
ターゲットモデルとしてりトポロジしたモデルを読み込み、そこにコンセプトマケット(ターシャリ)の形状を転写する。
そのディスプレイス情報を、32bit-floatでマップに書き出す。

8.ディスプレイスメントのアサイン(Mudbox)

ターゲットモデルのDivを上げて、前の工程で作成したディスプレイスメントマップをアサイン。

9.ファイナルディテール(Mudbox)

ここで、可能な限り細かいディテールを入れる。完了したら、後にMAYAで使用するディスプレイスメントマップとベクターディスプレイスメントマップを書き出す。

10.バンプマップ(Mudbox)

  • これまでの工程で表現できなかったディテールを、バンプマップとして描画していく。
  • ステンシル、スタンプなども使用すぐが、個人的にはあまり頼りたくない。
  • バンプの詳細は、マップ解像度に依存する。

11.カラーマップ(Mudbox)

ペイントについては各自の方法論があるだろうということで詳細な説明はありませんでしたが、2011でペイント機能がパワーアップしているので、その一部を紹介されてましたね。

  • ドライブラシ…溝のくぼんだところだけをペイント出来る。
  • スタンプ、ステンシルなども使っていく。
  • 寒色系のレイヤー>暖色系のレイヤーのように塗り重ねて行く。
  • 縞模様なども入れたり。


…と、ここまででMudboxでの作業は完了し、あとはMAYA上での作業になります。

12.レンダリング(MAYA:mentalray)

  • トポロジーしたターゲットモデルを1度だけ分割したものをレンダー用に使用。
  • mentalrayのディスプレイスを使用する。
  • 「MultiChannelSetup」という便利なMELがあるので、使用して欲しい。(PixelCG.comのサイトからダウンロード可能)Mudboxで設定したテクスチャを選択するだけで、自動的にハイパーシェードを繋げてくれる。
  • その後SSSのテストを行い、SSSに先程のハイパーシェードをつなぎ直す。
  • 今回のキャラの場合、SSSのBackScatterにのみテクスチャが必要だったので作成し、アサイン。
  • ファーも適用。(Maya:Fur)
  • 32bit EXRでレンダリングする。
  • ベクターディスプレイスメントマップは、まだMAYA標準では適用出来ないが、個人でカスタムプラグインを作ってくれた人がいるので、それを利用した。

13.コンポジット(Toxik)

  • カラー、AO、ファー、スペキュラを別パスでレンダリングし、Toxikでコンポジット。
  • Toxikで背景の設定も行った。
  • Toxikはノードベースで分かりやすい。

14.プレビュー

完成です。ターンテーブルで見せていただきました。



以上、書き起こした自分も疲れました…。
実際に登壇された西田様は、それ以上に大変だったと思います。あらためて感謝の拍手をお送り致します!ありがとうございました!!



<補足>
新バージョン2011の出たばかりのMudboxですが、すでに次期バージョンのアルファテストが始まっているそうです。西田様からも様々な要望を出されているとのこと。楽しみですね。