【レポート】CGWORLD 2011 -クリエイティブ カンファレンス〜② ポリゴン・ピクチュアズ

※基本、当日PCでメモった内容をそのまま記載しますので、文章としての体裁はご容赦下さい。また説明足らず、間違いがあればご指摘いただければ幸いです。


>>ポリゴン・ピクチュアズ Web www.ppi.co.jp

当日は、ポリゴンピクチュアズ(以下PPI)の代表代表取締役社長、塩田周三様が登壇されました。
ヒゲがダンディーです。いい声です。

講演内容は、「海外大型案件受注へのロードマップ」ということで、直接CGの作業に関わる内容ではなかったのですが(ご本人も、冒頭に「本日の講演で一番CG色が薄いです」と話されてました・・・)、特に海外案件に限らずとも、仕事を受注、開拓していくためのきっかけや心構えなど、多岐に渡って通ずるものがあると思います。

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■海外プロジェクトの売上比率

'00・・・0%
'03・・・13%
'07・・・34%
'12・・・66%

・'03から年約25%売上増
・海外ビジネスが事業規模拡大。



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■現在の海外受注タイトル
トランスフォーマープライム

(米の「Hub」というチャンネルでやってる)
実働人数130名


・TORN UPRISING(後でレポートしますが、KojiVFXさんがコンポジットされてます)

→来年の春から放映。3D/2Dハイブリッド
全面的に日本で作っている。ProductionIGと協力
3分番組12本のパイロット作成→その後22分番組で。
実働人数50名


・CLONE WARS 


4thシーズンから参加。
これまではLUCASアニメーションとCGCG(台湾の会社)が作成。
第3スタジオとして参加。5話作成。

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■これまでの海外展開
最初はディズニーアニメから受注。リグを担当。


TIGGER&POOH(幼児向け)←※2011/11/10 ご指摘により修正いたしました。

The Force Unleashed 2(インゲームムービー):一昨年。←※2011/11/10 ご指摘により修正いたしました。
BONEHEADS(短編)

AKIHABARA@DEEP
海外のチャンネルと一緒に(このへんあやふやです)


・・・足掛け8年くらい。



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■なぜやるようになったか?
・創業スピリット

誰もやってないことを、圧倒的クオリティで、世界に発信していく!


<1995年>

ロッキー&ホッパー(なつかしい!)がブームに。
バーチャルタレントの先駆け。CM作成料だけでなく、出演料を取る。
ロイヤリティーが入った。最初で最後の、PPが潤った時代w

<'96-99>

DREAM PICTURES STUDIO(DPS)設立。(ソニーと共同設立。PSバブルに乗って)
フルCGで映画を作ろう!スクウェアの1年後くらいから。
イケイケだった。80億くらい集めた。贅沢の限り。

日本ににノウハウがない時代。ノウハウを得るために、米でスタジオ立ち上げ。
スーパーバイザーを呼んだりした。

…2年強で終了。
(理由)納得行くストーリーが出来なかった。

ゲーム業界も変化し、解散。


<'00-01>

このインフラ、人を活かそう!
ロッキー&ホッパーのTVアニメ
デジタル所さん(1年で286話)80人〜90人で。

2001年はCGにとってショッキングな年だった。
(FF映画がコケた)

社会がCGに対して冷たくなった。
CGの大量生産ラインを確立したが、国内に需要がなかった。


一方、海外ではPIXER、BLUESKYなどのスタジオが活躍。
米においてはTVシリーズのCGへのシフトが起きていた。
「BEASTWARS Roughnecks」←※2011/11/10 ご指摘により修正いたしました。

海外に需要があるんじゃないか?

2001年、海外営業開始。



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■大事なポイント

・市場を知る!(KNOW THE PLAYER)


・海外のスタジオ、チャンネル、プロダクションカンパニー(番組供給先)、ゲームパブリッシャー、エージェント、REP?(何の略だろう)、マネージャー
→これらの情報を仕入れる。


・リニアな映像の需要?(良く分からない)


・大手エージェントは相手にしてくれないが、いろんなレベルのエージェントがいっぱいいる。
→小さいけれど、アテンションをくれるエージェントを見つける。


・プロデューサー、作家、弁護士などからも攻めて行った。

・これらの情報は雑誌から得た。

ANIMATION MAGAGINE
VARIETY



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■勇気を持って現地に赴き、手を指し出す!(STEP OUT & REACH OUT)

・DPS時代の友達に声をかけていく。(友達からの紹介)
→口利きで最初の仕事が来た。
→人間関係が大切!


・エージェントを探す。
その時の類似するような企業のページを見る。

WILDBRAIN(http://www.wildbrain.com/)
BLUE SKY STUDIO(http://www.blueskystudios.com/content/index.php)
PSYOP(http://www.psyop.tv/#psyop/new/projects/twinings-sea-subtitle

コンタクトページを見ると、エージェント、マネージャーとかの情報が!
→そこにスパグラー?があった。(たぶんエージェント名)
→そこからいろんな会社に声をかけてマネジメント契約にこぎつけた。
→仕事には繋がらなかったけど、閉鎖的なハリウッド社会に入り込むことが出来た。
→今は、PPIが直接営業している。


・トレードショー、コンベンションに通う、声をかける。

Mipcom(フランス)http://www.mipworld.com/mipcom/
SIGGRAPH
COMICCON(米のコミケ?)http://www.comic-con.org/cci/
KIDSCREEN SUMMIT(子供向け)http://summit.kidscreen.com/index.php
E3

→誰よりも話し、飲み、歌い、目立ち、覚えてもらう。
→夜のパーティーにどこまで付き合うか。


SNSも重要

facebook
LinkedIn
twitterは海外では使われない。

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■目立て!(STICK OUT)

新しいスタジオ(外注先)探していますか?と質問したら・・・

・中堅(WILDBRAIN)どころは、OPENDOOR、ウェルカムだ。
→まずはテスト。デモリール、経験を見る。
→他にもパイプラインがロジカルか。実績は。実際にスタジをを見て判断する。

・大手(LUCAS)は、実績がないところにはなかなか頼まない。
→他の業界関係者の推薦が重要。
→キーになる人物のパーソナリティー、経験。

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■テスト(THE TEST)

・1分くらいの映像を作る。
→まずは無償。→そのうち、お金もらって、→そのうちテストなしになる。
トランスフォーマーはテストなしで受注できた最初の仕事。



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■見積もり(THE BID)



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■訪問(THE VISIT)

・設備、セキュリティにうるさい

USBが殺されているか?
DVDに焼いて持ち出せるのか?
ネットワークつないでいるか?
バックアップは?
どのような技術開発やってるか?
ちゃんとソフト買っているか?
インフラ、UPS


・VISITまで来たら、とことん接待する!
→日本は魅力的なので、とにかくアピール!


・最終判断基準は・・・

クオリティ
品質
キャパシティ
マネジメント
ロケーション
言語スキル(少なくとも翻訳できないと)
価格(けっして上位判断基準ではない!品質が大事。)
スタジオの大きさ


・テストは、制作の過程も重要。
→途中でリアルタイムにちゃんとあげてくるか、やり取りがどうか。


受注できたTVシリーズの例

'03 初期テスト
'04 追加テスト
'05 パイロット制作→見積もり→受注
'06 納品

成功理由:パイロットの強さが受注要因だった。

受注失敗したTVシリーズの例

'08 初期ブリーフ→スタジオ訪問→テスト→訪問→見積もり→失敗

失敗理由:コスト、技術インフラ、地理的要因
→担当者が飛行機に乗りたくない!(対向の会社はカナダだった)

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■契約

・日本の弁護士は高いので、現地で探したほうが絶対いい!
→現地の事情をわかっている。日本の弁護士には交渉力がない。


・保険(INSURANCE)
→GENERAL LAIBRALY?(通常の保険?)
→E&O INSURANCE?(クレーム対応?)


・為替は大事!
多くの仕事はドル払い。(今、円高で15%の為替差損が出てる!)



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■何故今海外案件を追うのか?

・とにかくまずやりたいから!


・そういう仕事がいいバジェットであるから。
例)制作費22分で幼児向け12-15万ドル
例)もうちょい年齢層が高いと17万ドル〜


・技術ノウハウを得ることが出来る。


・日本の市場は小さい。日本の素晴らしい技術、クリエイターでそれを打破したい。



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以上です。
乱筆乱文、失礼しました。

印象に残ったのは、社長であり登壇者である塩田様のええ声と、関西人ならではのしゃべりのうまさ、プレゼンの面白さです。
そのパーソナリティがあるからこそ、PPIの海外での成功も成し得たとも言えますが・・・ただ規模や職種関係なく、自ら未知の世界に飛び込んでいくバイタリティーってのは必要なんじゃないでしょうか。

また、プレゼンのスライドも面白かったです。
1枚のシートに全ての講演の要素、内容が書かれていて(ちょうどアイデアツリーみたいなものを思い浮かべてもらえればよいかと思います)、進行に合わせて該当箇所がズームインしたり、引いたり、スクロールしたりして、とてもかっこよかったです。たぶんFLASHで作成されたのかと思いますが・・・プレゼンの見せ方も参考になりました。

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次の記事は、
神風動画さんの講演「デジタル女子のXXな話」です。

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