【レポート】CGWORLD 2011 -クリエイティブ カンファレンス〜④ KojiVFX
>>KojiVFX Twitter http://twitter.com/kojivfx
最初のポリゴン・ピクチュアズ様(以下PPI)の講演でもお話が出ていたのですが、海外のTVシリーズ作品「TRON UPRISING」のコンポジットを担当されております。合成ソフトは、アバターで一躍有名となった、3Dコンポジットソフト「NUKE」(>http://www.thefoundry.co.uk/products/nuke/)を使用されているとのこと。
ここ数年僕はパチンコの映像作成で、CG、実写、アニメなどの合成作業をAEでやってるわけですが、それ以前の仕事でコンポジットの経験は全くなく、AEも仕事で使用してからまだ1年ちょっと。おそらく、すごい基礎的な、しかも重要な部分を見落としているのではないか?というのは常々感じていました。
講演者のKojiVFX様は、海外でコンポジターとしてご活躍されており(現在はPPIでお仕事されています)、今回のような合成に関する基礎的なセミナーも度々開いておられます。なかなかタイミングが合わずにこれまで受講できないでいたのですが、本日、いよいよ待望の参加!ということで、少しでも今後の仕事のプラスになるものを持って帰ろうと、意気込んで臨みました。講演ではCGと一見関係あるのか?と思うような計算式なども出てきて、素人目から見ると難しいものではあったのですが、なんとか理解できる部分を、以下に内容をまとめさせて頂きます。(間違いが多々あるかもしれません。気づいた方はご指摘願います)
受講後に、直接ご質問の機会も設けて頂きまして、非常に実りのある、今後必ず実践したい内容でした。
ではでは、講演の内容です。
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■合成の基礎
・合成の基礎は計算で成り立っている。
・見た目では気づかない部分を認識することで、クオリティを保持する。
→それらを知らないままや合成すると、絵が荒れる。
合成の基礎を理解するには、APPLEの「SHAKE」がおすすめ(でもすでに販売終了>http://blog.goo.ne.jp/buhitann/e/c99f14c20d6286527a763bc6b08e6aed)
・でも基本はソフトが変わっても同じ。
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■リニアカラースペース
・リニアカラーとはどういうものか。
白→黒のグラデーション。リニアなので真っ直ぐなグラフ。
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■RGBの計算式
・例えばRGB=(1,0,0)の赤に(0.5,0.5,0.5)のグレーを重ねる
→Rは1.5になって、8bitだと1以上になるのでクランプされてしまう。
→R部分の階調がなくなってしまう。
・フローティングカラー32bitを使って合成すると綺麗。
・RGBチャンネルの情報を常に見る癖をつける。合成するときに、必ずRGBの数値をを見る。
・合成する時に、RGBのチャンネルごとに異なるグレーを乗せたりする。(明るくするときかな?RGBそれぞれで階調が無くならないように)
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■AEの通常合成モードの計算式(NUKEのOVERモード)
A+(B*(1−Aa))・・・Aaはアルファ
・アルファで抜いた部分は0になるので、Bは表示されない。
・アルファがなかったら、A+Bの足し算(加算)と同じになってしまう。(実演して頂きましたが、確かにそうでした)
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■プレマルチ?orアンプレマルチ?
・上は簡略化した計算式。実際の計算式OVERは
(A*a)+(B*(1−Aa))
・Aにアルファの掛け算をするのが大前提。
・事前にアルファの掛け算をするのかしないのか。(事前にするのがプレマルチ)
(AEでもオプションがある。確か「黒マットをキャンセルさせる」?調べとこう)
→これは重要。
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■マイナス値
・計算をすることで、32bitだと黒がマイナスになる場合がある。
→マイナスがあると、カラーが反転してしまう。(これもAEで試したら実際そうなりました)
・必ず、スポイトで拾って黒部分のカラーを確認する。
→見た目じゃなく計算式。
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■Photoshopの色とNUKE(AEでもだけど)の色が変わってしまう。
・グロー系のエフェクトはほとんどだめ。
・まずはリニアで作業して、後でsRGBに戻すと同じになる。
(補足:このあたり、コンピュータの認識する色と人間が認識する色の違い云々、というのが関わってくると思うのですが、もう少し調べたいところ)
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■ガンマ
・使ってもいいけど、ガンマは、一番厄介なもの。
(PPIがではガンマ2.2くらいを好んで使っているが、原則禁止にしているとのこと)
・ゲインをいじった後に、色を戻すことができるか?
→ガンマを途中でかけちゃうと、戻せない。(できるけど・・・)
→ガンマってのは、規定の値。本当にこの調整をしたくてやっているのか?
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■ルックアップテーブル(LOOKUPTABLE)
・ガンマではなく、LOOKUPTABLEを使って、自由にやったらいいんじゃないか。
(AEではレベル補正?)
・ルックアップテーブルなら、Rの数値だけを下げるとか出来る。
・カラコレでガンマを使わなきゃできない、なんてことはない。
・フローティング(32bit)でガンマいじった時に、マイナス値がでちゃうことがある。
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■グループ化
・カラコレの計算は1つのグループにまとめて欲しい。
→AEだと、カラコレ後のコンポにさらにカラコレ、とかよくやると思うけど、それで絵が劣化する。
例)
ブライトネス→移動→ブライトネスとかやると・・・
移動させた時点で、イコールが付いてしまう?(←これがよく分からなかったけど、おそらく計算が一旦完結してしまう、というようなことかしら)
移動に対して、そこで完結させずにさらに実行すると、エッジが甘くなったりするなど、絵が荒れる。
・鉄則として、1つの行為をまとめて完結させる。
・ノード系のコンポジットソフトはこのへんのしくみがよくわかって良い。
→1つの処理には、1つのノードしか無いので好き。めんどくさいけど。
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■リニアワークフロー
・CGから上がってきた素材は黒い。(←これもよく分からなかったですが・・・ガンマの関係でしょうか)
・OPENEXRを使う。
・作業ワークスペースでガンマはかけて欲しくない。曲者。
→内部的にはリニアで作業する。モニタだけガンマを上げる、とかやるとよい。
・リニアはオーバー(明るすぎること)しても戻しやすい。良いクオリティであがる。
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■引き算で気をつけていること。(シャドウとか)
・どうしても絵がマイナスになっていくので、チェックして確認。
・もらったパス素材をそのまま使うのではなく、ちゃんと確認する。
・目で見て判断しない。
→それらを1人1人気をつけることで、必ずクオリティはアップする。
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■まとめ
・海外に行って、何かが違うことに気がついた。
→それが計算式!
・海外のコンポジターはみんなそれを知って、実践している。
・日本でも出来るはず!
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■質問
・EXRでマイナス値の素材はあるのか?
→ベクター素材。ポジションパスとか。
(以下、僕から直接KojiVFX様に質問させて頂いた内容です)
・仕事で8bitの素材を貰うことが多く、ワークフロー自体8bitで行なっているが、それでも32bitフローティング環境で作業すべきですか?
→32bitは重いけど、必ずクオリティは上がる!
→8bitの素材はどうにもならないので、せめて12bitの素材をもらえるように。
・映画の合成で、OVER、ADDなど以外に特殊な合成モードは使用されますか?
→全然使用する。
→ただ、スクリーンなどは実はマイナスの計算を行なっているので、合成結果がマイナス値になる可能性がある。しっかり数値で見て、理解して使えば問題ない。
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・・・以上、1時間の短い時間ではありましたが、非常に充実した内容でした。
我々の職種(ゲーム、パチンコ)としては耳なじみのない言葉、初めて聞くことも多く、決して全ての内容を理解したとは言いがたいのですが・・・引き続き不明な点は調べて、かつ必ず実践して、映像のクオリティアップに繋げたいと思います。
素晴らしい講演をしていただき、なおかつご質問にも答えて頂いたKojiVFX様に感謝です!
(ご本人は、来年以降はまた海外で仕事を探すとのこと。頑張ってください!)
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さて、次はいよいよ最後の講演、デジタル・フロンティアの鉄拳セミナーです!