【映画】カールじいさんの空飛ぶ家
今日は会社の仕事納め。
納会が終わって早くあがれたので、奥さんと一緒に浦和ユナイテッドシネマで「カールおじさんの空飛ぶ家」を見ることに。
(以下、ネタバレを含みます!ご注意。)
はじめに
トレイラーはWEBやTVでさんざん見ていたので、序盤の内容はまあ当然知ってたわけなのですが・・・駄目ですね。もう。その後の展開を知ってるせいで、子供時代のエリー(カールの奥さん)が登場した瞬間から既に涙ボロボロ。歯欠け小娘見ながら涙が止まりません。
導入部は期待通り。珠玉の出来です。年老いた主人公カールが、とりたててなんと言うことのない、でもエリーがいたからこそ幸せだった半生を振り返ります。昨年アカデミー賞をとった「つみきのいえ」にも通じるどころがあります。
むしろ、序盤でここまでの感動を味合わせて、そこから先大丈夫か?と思っていたのですが・・・
そんな心配はPIXERには不要。全編を通して期待以上の作品でした。
概要
冒険好きだったエリーとの共通の夢は、南米「パラダイスの滝」に家を建てること。
その夢をかなえるため、カールじいさんは大量の風船を自宅に結び付けて、空へと旅立ちます。
そして、たまたま居合わせたボーイスカウト?の少年ラッセルと一緒に冒険することになるのですが、最初はギクシャクしているこの少年との交流が、カールじいさんにとって大きな意味を持つことにるのです。
他にも幻の鳥ケビン、犬のダグ、あたりが脇を固めるのですが、このあたりは展開やアクションシーンの盛り上げ役ですね。主にカールじいさんとラッセルの距離感を広げたり縮めたりする役目。
映画から読み取れるメッセージ
かなりネタバレになるのですが、実は映画の中盤あたりで、カールとエリーの夢である「パラダイスの滝」には到着してしまいます。夢がかなったのだから、思いっきり喜べればいいのですが、そうはなりませんでした。このシーンの直前に、カールとラッセルはケビンを助けられなかったことで、仲違いしてしまったのです。(その後、ラッセルはケビンを助けようと、単身、敵の飛行船に向かいます。)
念願の滝に辿り着いた・・・大きな喜びと達成感があると思いきや、、そこには、人生をともにしたエリーも、冒険をともにしたラッセルもいない。あるのは、エリーが生前座っていた椅子だけ・・・。大きな虚無感がカールを襲います。
ここで、カールは、エリーの椅子の隣に並んだ自分の椅子に座って2人の思い出のアルバムを開きます(ここは第2の泣きポイント)。その最後のページには、細かい言葉は忘れましたが「いままでありがとう、これからは自分の冒険をして!!」といったようなエリーからのメッセージが書き込まれていました。
ここが、おそらくこの映画の大きなメッセージとなっているところです。「人はいつでも、(自分が決断さえすれば)新しい冒険に旅立つことが出来る。そしてそれは、年老いてからも例外ではない」と。
ラッセルとケビンを助け出す、という新しい冒険(使命とでもいっていいかもしれませんが)を見つけたカールは、風船の数が減って飛べなくなった家から家財を・・・エリーの思い出の椅子も含めてすべて放り出して軽くし、再び飛ぶようにして敵の飛行船へと向かいます。そして、感動のラストへ・・・!!
ラッセルについて
映画を見るまでは、正直ラッセルというキャラクター必要なのかどうか、疑問だったんですよ。
何故か東洋系だし、なんか小生意気なガキだしうるさいし・・・ただ、映画を見終わった後は納得です。
どうしてもこのキャラ設定であった必要はないと思いますが、カールとエリーの間に出来なかった「子供」という存在として、この映画のキーキャラクターになっていると思います。
映像
映像の美しさもさすがPIXER。
前作「WALL:E」がロボットだらけ(人も出てましたが)だったせいで新鮮なのかもかもしれませんが、人肌の表現がさらに美しく感じます。
PIXERの人肌表現は、「レミーのおいしいレストラン」あたりで格段と進化しましたが、今回は、老人と子供という対照的な肌表現が一度に見れたことで、その美しさを再認識しましたね。
あとは大量の風船や、揺れる家の中で右往左往する家具の動きなど、群集シミュレーションや物理演算もすばらしかったと思います。エンドクレジットにも、「Crowd&Simulation」という括りで何人ものスタッフの名前がありました。クレジット全体を見ても、東洋系のスタッフが結構いるな〜という印象です。(ラッセルが東洋人なのも、PIXERの中では不自然じゃなかったのかな?)
エンドクレジットは、Blu-rayでも買って(奥さんが買うって言ってた。ラッキー!)じっくり見てみたい。PIXERのエンドロールは毎回遊び心あるしね!
以下、ちょいと気になったこと。
ラッセルは孤児なのか?
(超ネタバレ!)
ラストシーンの上級ボーイスカウト?表彰式で、結局ラッセルのお父さんは来ず、カールじいさんが代りに壇上でバッジをつける役目をします。
会場には母親のような感じの女性も来ているのですが、劇中のラッセルの台詞で「おかあさんじゃない」と言っているので、おそらく施設の職員(もしかしたら里親かも)ではないかと思います。
父親自身は全く劇中に登場しないのですが、ラッセルの台詞からは、テントの建て方や、火のおこし方がうまいなどのエピソードが垣間見えるので、彼がボーイスカウト?のようなことをやっているのも、父親の影響なのでしょう。しかし、今その父親はそばにいない、と。
カールじいさんに強引についてきたのも、もともとは、老人に親切にして上級ボーイスカウトになれば、お父さんがバッジをつけに会いに来てくれるかもしれない、という希望からでした。
残念ながらその希望は適わなかったのですが、今後は父親役として、カールじいさんとの交流が深まっていくのでしょう。
もしかしたら東洋人という設定も、(白人の)親がそれを理由にして離れていく=孤児、というアメリカの人種差別的な一面を描いているのかもしれませんが・・・それは穿ち過ぎでしょうね。
敵の冒険家は死んだのか(生きていたのか?)
これも大ネタバレなのですが、敵役として登場するのは、カールとエリーがあこがれていた大冒険家(名前忘れました)です。
彼はカールが子供の頃、幻の生物(実はこれがケビン)を求めて「パラダイスの滝」に向かい、おそらくそのまま消息不明になっているのですが、老人となった彼(大冒険家)が中盤〜終盤にかけて登場し、カールの前に立ちはだかります。
そもそもなのですが・・・カールが子供の頃すでに大人だった大冒険家が生きているのか?という疑問があります。
カールじいさんの年齢設定は分かりませんが、少なくとも60歳〜70歳だと思われますので、年齢差を20歳と見積もると、冒険家の年齢は80歳〜90歳程度になります。まあ、無いことはないのですが、普通に考えると既にこの世にいなくてもおかしくない年齢差です。
また、この大冒険家はラストシーンでカールじいさんとの死闘(まさに死闘でしたよ!)の末に自分の船(飛行船)から落ちてしまいます。まあ、これも普通に考えれば「死んだ」のですが、PIXER×DISNEYの子供向け映画で、果たして人が死んでいいのか?というのが正直なところです。
この後でまあ、大怪我してベッドの上でまだいきがってる、みたいな描写があれば納得なのですが、そういったシーンはありませんでした。
これはあくまで僕の解釈なのですが・・・実は、この大冒険家は既にずいぶん前に死んでいて、その亡霊が、カールの前に現れたのではないでしょうか。冒険家は飛行船や、たくさんの犬を操っていたのですが、それもきっと、生前にそういうプログラムを組んでいたのでしょう(つまり犬たちは亡霊である主人に忠誠を誓っていた、と)。
さらに深読みすると、幻の生物を見つける、という目的に固執したために亡霊となった大冒険家と、エリーの夢を実現させるために周りが見えなくなってしまいそうになったカールを、紙一重に対比することで、より「いつでも新しい冒険に旅立つことが出来る」という主題を浮き上がらせる意図があったのではないでしょうか。
というわけで、大冒険家は「生きていなかったので、(ラストシーンでは)死んでない」と考えれば、僕としてはすっきりと片付きます。
まとめ
・・・長々と書いてしまいましたが、今年見た映画の中でも、「サマーウォーズ」と並んですばらしい出来でした。今年はアニメの当たり年だったかも!
来年の夏は「ToyStory3」(今日の予告編でも流れてました)も公開されますし、今後のPIXER作品から目が離せません!!
追記
今回は、上映館が3Dに対応してなかったので、通常版での鑑賞となりました。
「AVATAR」はぜひ3Dで見たい!!