パチンコCGのこと2・VDPとか


※画像は関係ありません


パチンコ、パチスロ業界に入ると、おそらくいろんな専門用語、業界用語に接することがあると思います。

最たるところでいうと、「7号」とか「遊技機」といった言葉でしょうか。※これらの説明は割愛させていただきます。

パチンコ液晶CGをやるにあたっても、避けて通れない用語がいくつかありますが、打ち合わせなどに出るようになると、「今回のVDPは何?」とか、「VDPの制限があって…」とか、「VDP」という言葉に、いつか遭遇するはずです。

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VDPとは「Video Display Processor」の略で、文字通り、映像表示や描画まわりの処理を行うプロセッサ、またはそれを含む表示ユニットのことを指す言葉です。(一応、Wikipediaで調べたら合ってました…)

ゲーム開発をやってる時は全然聞いたことない言葉でしたが、パチンコの業界では普通に使う言葉のようです。「今回の案件では、〜のVDPをターゲットに開発します」なんてことをよくいいますが、こらはゲーム業界に置き換えると、「今回はPS3のソフトを開発します」に相当すると思えばよいでしょう。

つまり、あるVDP向けに作成したパチンコの映像は、簡単に他のVDP向けに転用することは難しいのです。

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VDPは、いくつかのVDPベンダーから供給されていて、それぞれに値段や性能差といった違いがあります。よく採用されているのは某A社とか某Y社のVDPで、このへんがいわゆるデファクトスタンダードとよんでいいと思います。

メーカーさんは、それぞれのVDPの価格性能費を比較し、かつ今回の案件に適しているか、開発環境が整っているかどうかなども加味して、VDPを選択しています。VDPもゲームハードのように日々進化していますので、同じシリーズの台でも、続編ではVDPが変更になる、といったようなこともある訳です。

使用しているVDPを公表することはまずないのですが、先日発売されたサンセイの「牙狼(GARO)」の続編の「GP-2×32Gbit!」のように、高画質VDPと大容量ROMを売り文句に宣伝する場合もあります。(これが果たして売りになるかどうかは別問題ですが…)


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一般的には、より高い描画能力のVDPを使用すれば、より大画面で様々な追加エフェクトを加えた映像を見せることができますし、ROMの量が多ければ、大量の画像データを持つことができますので、より多様な演出やパターンを搭載することができます。

それ以外にVDPの性能の違いがどういうところに現れるかというと…大きな違いは、リアルタイム3D描画を扱えるか、扱えないかといったところになります。完全に2Dに特化したもの、3D表示に特化したもの、2D/3Dのハイブリッドなど、様々なVDPがあります。

そして、意外に思われるかもしれませんが、現在、パチンコ液晶で使用されるVDPにおいてメジャーなのは、3D全盛のゲーム業界とは反対に、2Dに特化したもの、もしくは、2D寄りのハイブリッドなのです。

※パチンコにおける2D表現も、大別するとゲーム機のスプライト的機能と、ムービーの再生機能に分けられます。以降、「2D」といった場合、後者の「ムービー再生機能」を主に指すと考えてください。

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それはいったい何故か?

一度でもパチンコ屋に入って、液晶画面を見たことがある方ならばすぐ気づかれると思うのですが、ほとんどの台が、いわゆるゲームの「プリレンダリングムービー」のような、決めうちの映像をメインにリーチを構成しています。

特にパチンコに限って言うと、前回の記事て触れたように、抽選が行われてから結果表示がされるまでは、基本、プレイヤーは待っているだけの状態におかれます(演出用のボタン入力等を除きます)。

実は、「当たり」か「ハズレ」かの抽選をする時、パチンコ機は一緒に「何秒後に結果を表示(確定)するか」ということも抽選しています。(多くのメーカーで変動パターンとよんでいるものです。)さらに、その時間情報を受け取って、その時間に適した演出の中から、一つが抽選されます。

つまりパチンコの場合、頭の抽選の時点で、結果と演出時間、演出内容が選択された後は、基本的に映像は垂れ流しの状態になるのです。(スロットは、プレイヤーのボタン入力によって演出時間が変わってしまいます。これについてはまた別の記事で)

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もちろん、ボタン入力によって映像にリアルタイムな変化をつけたりすることもあり、そこでプレイヤーを熱くさせたりもできるのですが、何をやっても結果が変わらない以上、そして、それをほとんどのプレイヤーが知っている以上、そこにリアルタイム性を盛り込むことで無限とも言える演出パターンを作り出すことは、プレイヤーにとっても、そして制作側の労力を考えても、あまり意味があることではないのです。

それよりも、いくつかの当たりハズレに関わる分岐ポイントを設けて、そこでプレイヤーを煽るほうが、制作するうえで効率もよく、決まった時間内で意図した映像を見せることができます。

また、当然の如く、リアルタイムレンダリングより、ブリレンダリングムービーのほうが映像も綺麗ですよね。

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まあ、理由はそれだけではないと思いますが、この、パチンコにとってリアルタイムな演出の必要性が薄い、ということが大きく起因して、ゲーム機ではPS、SSの時代から使われてきた3D表現も、パチンコにおいては、マイナーな表現のままに留まっているのではないかと考えています。

とは言え、パチンコの世界において、3D表現が全く使われていない訳ではありません。


次回の記事では、このへんを中心に書きたいと思います。